キース・ウィンター

久しぶりにギタリストの話

キース・ウィンター。この名前にピンと来る人は変わり者かよほどの音楽ヲタクである。ジョニー・ウィンターの兄弟ではない(それはエドガー・ウィンターだ)。

80年代から今も現役でがんばっている老舗ブリティッシュ・ジャズ・ファンク・バンド、“シャカタク”。彼はこのバンドのギタリストだった。もう脱退してしまったが、今何してるんだろう?? 完全引退だとしたら、ちょっと残念なことである。

シャカタクは80年代当時大いに流行った英国のバンドで、おしゃれで小綺麗なサウンドが特徴。代表曲“ナイトバーズ”や“インヴィテーション”は、聴けば恐らくほとんどの方が「あ、これ知ってる!」となるはずだ。今でもTVやFMで頻繁にかかる曲である。この2曲に限らず、シャカタクの曲の多くがBGM的に使われている。私はその全盛期にリアルタイムで聴いていたわけではなく、聴き出したのは90年代に入ってフュージョンなどに興味を持つようになってからである。

シャカタクが好きだという人は、ほぼ全員と言っていいくらいビル・シャープのピアノが目当てで聴いているはず。確かにシャープの転がるような、歌いまくるピアノは魅力的であるし、私も十分好きである。しかし私はそのピアノに隠れがちであるギターに耳が行ってしまう。

このキース・ウィンターというギタリスト、何に惹かれたかというと総合的なセンスの良さ。バンド・ギタリストらしからぬ、スタジオ・ミュージシャンばりのシュアなプレイをする。バッキングも単音のこじゃれたパターンや、切れのいいカッティングなど引出しが広い。特にカッティングの巧さは特筆すべきものがある。ソロを弾けばクールでジャジィに決めてくれる。彼は間違いなくジャズのバックグラウンドがあるギタリストだ。音色の作り方一つ取ってもジャズの影響を感じる。甘く滑らかで、めちゃくちゃ絶妙に歪みをかました音。私の某先輩曰く「日本人が絶対に作らない音」。あの音には憧れたねぇ。エフェクターいじっても、どうしても作ることができなかった。なんて言えばいいんだろうか?“ほんのちょびっと歪んでいて、サステインの効いたパット・メセニーみたいな音”とでも言えばよいか(笑)?あからさまなディストーション・サウンドは絶対に出さない。彼の歪みを聴くと、ラリー・カールトンやリー・リトナーですらかなり歪んで聴こえる。あの音はコンプレッサーにカギがありそうだな。MXRのダイナ・コンプとか、70年代後半くらいのコンプ系エフェクターはすげーいい音がするんだよなぁ。こもってるようでこもってない音。TOTOの1stでルカサーが出してた音もその手の音だった。キースもその手のコンプ使ってたのかな??  そんなクールな音で流麗なジャジィ・フレーズを決めるんだから、カッコ悪いワケがない。さりげなく速くて難しいフレーズを弾くんだよな。しかもサラッと。

シャカタクの85年位の来日時のライヴのVTを持っているが、そのライヴでキースはヤマハのSGを使っていた。めちゃめちゃギターの位置高いの(笑) ジミー・ペイジと真逆。それは置いといて、そのライヴでもやっぱりあの音でジャジィなプレイを展開していた。初期の曲でキース大活躍の隠れた名曲、“ルーズ・マイセルフ”というのがあって、これのスタジオ版では箱ギターっぽい音のオクターヴ奏法でメロディーを弾いている。しかしライヴでは例の音の単音弾きでやっていた。どちらのヴァージョンも好きである。ヤマハSGはノーマル仕様でコイルタップが可能なギターで、カッティングのときのシャキシャキした音はタップした音だろう。スタジオ盤だとストラト系と思しきシングル・コイルのギターのカッティングが確認できるが、当然数本使い分けてるんだろう。

最後にシャカタクというバンドについて。なんかシャカタクと言うとその偉大なるワン・パターンのためか、ジャズ・フュージョン・ファンの間ではバカにされる傾向がある。ワン・パターンだろうがツー・パターンだろうが聴いて気持ち良けりゃいいのだ。そういう屁理屈を言うならジェームス・ブラウンなんか聴かなくていい。適度にポップで、とてもわかりやすい上に綺麗でいいと思う。ビル・シャープのピアノ、キース・ウィンターのギター、ジル・セイワードのヴォーカルそれぞれ魅力的だが、その魅力を曳き出しているのが楽曲の良さ。ほんと曲がいいのよ、シャカタクは。でなけりゃトレンディ・ドラマの劇伴なんかに使われはしない(男女7人秋物語)。

深夜の首都高速を走る機会があったら、BGMは是非シャカタクを。最高なんで。


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この記事へのコメント

99
2010年02月20日 16:16
シャカタク、よく聴きました。最初曲調がみんな同じように聴こえて、ほったらかしにしてたんですが、暫く後に聴いたところ、ギターの緻密なプレイが浮き上がって聴こえてきたんですよ。あの瞬間は心からほったらかし期間を悔やみましたね...。達者なミュージシャンが多かったあの頃は良かった...当時の僕から見たら「オヤジ」であろう世代になっちゃった証ですかね(^_^;)。
2010年02月20日 17:52
99さん、いらっしゃいませ
シャカタクに反応してくれたことがまず嬉しいですよ☆ ダメな人は毛嫌いするバンドなんで・・ もう20年近く前でしょうか、まだシャカタクを聴き始める前、偶然FMで“シャカタク・スタジオ・ライヴ”なるOAを聴きました。これがめちゃ凄くて、“ちょっと、これ生演奏!?”と思うくらいの巧さだったことを今でもはっきり覚えています。でも彼らの場合“テクニックのためのテクニック”じゃなくて、“曲を良く聴かせるためのテクニック”なんですよね。だから未だに好きなんです(笑)
BOSE
2010年12月23日 09:47
はじめまして。
この方、プレイを再開しておりますよ。

URLを直張りしてよいのかどうかわかりませんが、もしよければこちらをどうぞ↓
http://www.anotherstorm.co.uk/

82年から聴いてきたファンです。
2010年12月24日 07:56
BOSEさん、初めまして☆ ようこそいらっしゃいました 82年からとなると、シャカタクが“ナイトバーズ”とかで日本で流行り始めた頃から聴いていたってことですよね? ハマトラのおねいさん達が街を闊歩していた頃(笑) そう考えるとシャカタクも息が長いよなぁ。キースの新バンド(?)の情報、どうもありがとうございました。早速某サイトで音をチェックしました。ブリティッシュ・ポップ・ロックですな。シャカタクとは音も曲も大きく違ってました。でもさすがにキース、今でも巧いですね。あの人は地味に巧いんですよね。
BOSE
2011年04月09日 14:55
こんにちは。

シャカタクの前身バンドを復活させたそうで
す。
もしよければこちらをどうぞ↓
www.tracksfusion.co.uk

2011年04月09日 19:17
BOSEさん、どうもです☆

こんなバンドがあったんですねぇ。全然知らなかった。気になったのが、マーティン・エリオットとジョン・ドーヴァーの2人のベーシストがいるってこと。ベースが2人のバンドって、聞かないですよね・・。
BOSE
2011年04月10日 09:05
ベーシストは曲によって変わるようです。
HPの「the music」をクリックするとyoutubeにアップロードされている演奏が見れますよ。

2011年04月10日 15:49
BOSEさん、見ましたよ~ またえらい画質がいいの キース、渋くなったな~。

つまり、これってビルがナイジェルと出会う前にやっていたバンドってことですよね。シャカタクよりだいぶ硬派な音!所謂フュージョンですな。そんで、“ブラジリアン・ドーン”やってましたねぇ。あれは確かシャカタクの1stのケツに入ってた曲ですよね?シャカタク以前からやってた曲だったんだー。ただあのコーラス隊、ジルとジャッキーのスマートさ比べちゃうと、ちょっと残念なものがありますネ
今井良介
2011年05月19日 15:31
もしかしたら最もシャカタクらしいアルバムかも!日本人好みの"NIGHT BIRDS"路線を追求し、日本のみで発売された傑作としても知られる!「男女7人夏物語」(1986年)「男女7人秋物語」(1987年)のサウンドトラック的扱いの2作品を含むライト・フュージョン傑作4作品が21年振りに最高の仕様で復活します!バブル期の日本を彩ったおしゃれ「美GM」!

■Shakatak / イントゥ・ザ・ブルー(1986) NCS775
■Shakatak / ゴールデン・ウイング(+1)(1987) NCS776ボーナストラック+1
■Shakatak / ダ・マカニ ~潮風のストーリー(1988) NCS777
■Shakatak / ナイトフライト(1989) NCS778
http://tower.jp/article/feature_item/77502

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2011年05月19日 21:46
今井良介さん、懐かしい名前ですねえ(笑) ようこそ来てくださいました☆

“美GM”という言葉が出てくるあたり、シャカタクのかなりのファンと見ましたが、いかが?ちなみにご紹介いただいたアルバムは、“ダ・マカニ”以外すべて持ってますよ(^^♪ もちろんリマスタリング前の旧盤ですけどね。“ダ・マカニ”って確か、ヨット・レースかなにかのイメージ・アルバムかなんかじゃありませんでしたっけ? ちなみに私が初めて買ったシャカタクのアルバムは“ナイトフライト”です
たか
2017年09月05日 08:41
キース・ウインターのツボを押さえたプレイは魅力的です。
ビルシャープのプレイやコーラスを聴いて、心地好い気分になるのも良いですが、たまにはそれぞれのプレイに耳を傾けるのもオススメですね!
静かな、でもすごい主張を演奏でしていますから❗
2017年09月05日 10:21
たかさん、ようこそいらっしゃいました ここ数年更新頻度がガタ落ちで、続いてんだか続いてないんだかわかんないようなブログです(大笑)

思ったんですが、キース・ウィンターをご存知の方って何気にかなりいらっしゃるんですねえ☆ 誰も注目してないギタリストかと思っていたら、こうして↑ ↑ ↑ ↑いろんな方々がコメを書いてくださっていて、自分でもちょっと驚いています。

キースのギターって、センスの塊というか、音色&フレージングにえらく上品さを感じます。疾走するようなプレイをしているときでも、その上品さが失われておりません。英国人気質でしょうか(笑) 彼が辞めた以降のシャカタクはほとんど聴いておりませんが、今のギタリストってキースと比べてどうなんでしょうかね?

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