アシッド・ジャズ vol.3
とうとうアシッド・ジャズ・ネタも3回目となった。
ぼちぼち一番好きなアシッド・ジャズ・ユニットのお話をしましょうか。
そのユニットの名は・・・・“ロウ・スタイラス(RAW STYLUS)”。
英国はロンドンの超絶ユニットで、95年にアルバムをたった1枚残して消え去っていった。その唯一のアルバムの名は“プッシング・アゲンスト・ザ・フロウ”。アシッド・ジャズも下火になり、アシッド・ジャズの“次”へと時代がシフトしていた中に発表された、悲運なるド名盤。でも私にとって、後にも先にもこんなに聴いてて気持ちいいアルバムもないんだよね。あれから15年経った今聴いても、やっぱり全然気持ちいい。なぜこれほどの作品がミュージック・シーンで無視されてしまったのか理解に苦しむ。
メンバーは元々制作サイドにいたジュールス・ブルックスとロン・アスラン、そして紅一点のヴォーカルのドナ・ガーディアーの3人。アスランはインコグニートのアルバムでクレジットを見つけることができるが、ブルックスは具体的にどんな活動をしていた人なのかは知らない。だがロウ・スタイラスの中心人物は彼だ。ギターも弾くが、リード・ヴォーカルを取る曲もいくつかある。そして、ドナ・ガーディアー・・・この人のヴォーカルこそ、私が地球で1番好きなヴォーカルであることを白状する。“プッシング~”を初めて聴いて今年で15年目になるが、彼女以上に魅力を感じる女性ヴォーカリストには未だに出会っていない。とにかく、まったくもって奇跡的に素晴らしいヴォーカリストとしか言いようがない。彼女を聴くまではTBNHのエンディア・ダヴェンポートが1番好きだった。ドナはエンディアをもっと濃くしてパワーを持たせた感じといえばいいかなァ。両者ともピッチの安定感や表現力はピカイチだが、私の好みではドナに軍配が上がる。ドナはまず声がいい。日本人では有り得ない声だ。黒人だけど、アレサ・フランクリンやグラディス・ナイトみたいなピュアなソウル・シンガー達とはまた違うタイプの声で、あそこまで黒っぽくない。しかしながらファンキーでめっちゃパンチが効いている。しかも声にハリツヤがあるときた。これで好きにならないワケがないだろ。そんなドナのハイ・クオリティな歌声を楽しみたいなら、5曲目の“ハイアー・ラヴ”がおすすめ。男に搾取される悲しき娼婦の歌だ。その娼婦の切ない思いをソウルフルに歌い上げている。私の某友人はこれが1番好きだと言っていた。でも私が好きなのは2曲目の“ビリーヴ・イン・ミー”なんだよね。私の選ぶベスト・オブ・歌モノアシッド・ジャズ・チューンはこれかも。あァ~でも“キューバン・キング・ブリーズ”も捨て難いなァ~~。マジで、涙が出るほどかっこいい。すんごいポジティヴかつダンサブルな曲で、アレンジが激烈に素晴らしい。コーラス、ホーン、ラストのヴォーカルのフェイクまで鼻血が出そうだ。バーナード・パーディーのビシビシ決まるスネアと、当時NYで活躍していたジャズ・ファンク・バンド、グルーヴ・コレクティヴのジョナサン・マロンによるブキブキと野太いベースがやたらに印象的だが、その上に踊るドナの自信に満ち溢れたヴォーカルがまたとんでもない。いや~、こんなヴォーカルとやったらバックは燃えるよなァ~! このアルバムの大きな特徴として、ドラムとベースの録音レベルが異様に高い。それがアルバム全体をヴィヴィッドに、ヴァイタルにしている。これってプロデューサー、ゲイリー・カッツのディレクションなんだろうか? スティーリー・ダン時代とはまるで違うが、時代とともに彼の作るサウンドも変わったのかもしれない。このアルバムには錚々たるミュージシャンが参加していて、ホーン・セクションにランディ・ブレッカー、ロニー・キューバー、ルー・マリーニ、ルー・ソロフ、ギターにヒュー・マクラッケンといったNYの老練トップ軍団、その他のミュージシャンもエリオット・ランドールやバーナード・パーディーなどのスティーリー・ダン・コネクションが協力している。しかも3曲目にはなんとドナルド・フェイゲン本人がキーボードを弾いているではないか
そんでもってプロデューサーは前述のゲイリー・カッツ。エンジニアはこれまたスティーリー・ダンのエリオット・シャイナー。このフリークぶり・・実はロウ・スタイラスの面々はスティーリー・ダンに無上のリスペクトを持った連中だったのだ。フェイゲン参加の3曲目“37アワーズ”は、アメリカまでスティーリー・ダンを見に行ったときのエピソードが題材となっている。ロンドンからはるばるアメリカまで行ったんだと(笑)
今、この記事を書きながら実際にアルバムを聴いている。フルで聴くのは結構久しぶりなんだけど、やっぱいいわぁ~。ほんと、改めてアレンジは天晴れである。ロニー・キューバーのバリサクがこっそりかっこいいんだな。ソウル・グルーヴものにはよく登場するクラヴィネットだけど、なんだかこのアルバムのクラヴィは音がやたらと太いんだよね。そんでそれがまたすげぇかっこいいんだわ
特に4曲目の“キングス・クロス/デイブレイク”のフェイザーかましたぶっとい音にはヨダレが出る。こんな太いクラヴィは他では聴いたことないよ。
グルーヴ・ミュージック・ファンなら、このアルバムを聴かないなんてのはとてつもない損だと思う。アルバムが丸ごとガチンコで、ごまかしとかスカシとか一切ない。音の塊が体当たりしてくるようである。アルバム発表時ポール・ウェラーが大絶賛したらしいけど、ポール・ウェラーでなくともコレを聴けば大絶賛したくなろうて。
このユニットだけは心から来日を待ち望んでいたのだが、ついには来日することはなかった。残念である。もう少し早い時期にデビューしていたら・・・。しかしながらこの“プッシング・アゲンスト・ザ・フロー”を凡百のアシッド・ジャズ・アルバムの1枚として片付けようとするのは、果たしてどんなものか???
ブームというのは時として残酷である。
ぼちぼち一番好きなアシッド・ジャズ・ユニットのお話をしましょうか。
そのユニットの名は・・・・“ロウ・スタイラス(RAW STYLUS)”。
英国はロンドンの超絶ユニットで、95年にアルバムをたった1枚残して消え去っていった。その唯一のアルバムの名は“プッシング・アゲンスト・ザ・フロウ”。アシッド・ジャズも下火になり、アシッド・ジャズの“次”へと時代がシフトしていた中に発表された、悲運なるド名盤。でも私にとって、後にも先にもこんなに聴いてて気持ちいいアルバムもないんだよね。あれから15年経った今聴いても、やっぱり全然気持ちいい。なぜこれほどの作品がミュージック・シーンで無視されてしまったのか理解に苦しむ。
メンバーは元々制作サイドにいたジュールス・ブルックスとロン・アスラン、そして紅一点のヴォーカルのドナ・ガーディアーの3人。アスランはインコグニートのアルバムでクレジットを見つけることができるが、ブルックスは具体的にどんな活動をしていた人なのかは知らない。だがロウ・スタイラスの中心人物は彼だ。ギターも弾くが、リード・ヴォーカルを取る曲もいくつかある。そして、ドナ・ガーディアー・・・この人のヴォーカルこそ、私が地球で1番好きなヴォーカルであることを白状する。“プッシング~”を初めて聴いて今年で15年目になるが、彼女以上に魅力を感じる女性ヴォーカリストには未だに出会っていない。とにかく、まったくもって奇跡的に素晴らしいヴォーカリストとしか言いようがない。彼女を聴くまではTBNHのエンディア・ダヴェンポートが1番好きだった。ドナはエンディアをもっと濃くしてパワーを持たせた感じといえばいいかなァ。両者ともピッチの安定感や表現力はピカイチだが、私の好みではドナに軍配が上がる。ドナはまず声がいい。日本人では有り得ない声だ。黒人だけど、アレサ・フランクリンやグラディス・ナイトみたいなピュアなソウル・シンガー達とはまた違うタイプの声で、あそこまで黒っぽくない。しかしながらファンキーでめっちゃパンチが効いている。しかも声にハリツヤがあるときた。これで好きにならないワケがないだろ。そんなドナのハイ・クオリティな歌声を楽しみたいなら、5曲目の“ハイアー・ラヴ”がおすすめ。男に搾取される悲しき娼婦の歌だ。その娼婦の切ない思いをソウルフルに歌い上げている。私の某友人はこれが1番好きだと言っていた。でも私が好きなのは2曲目の“ビリーヴ・イン・ミー”なんだよね。私の選ぶベスト・オブ・歌モノアシッド・ジャズ・チューンはこれかも。あァ~でも“キューバン・キング・ブリーズ”も捨て難いなァ~~。マジで、涙が出るほどかっこいい。すんごいポジティヴかつダンサブルな曲で、アレンジが激烈に素晴らしい。コーラス、ホーン、ラストのヴォーカルのフェイクまで鼻血が出そうだ。バーナード・パーディーのビシビシ決まるスネアと、当時NYで活躍していたジャズ・ファンク・バンド、グルーヴ・コレクティヴのジョナサン・マロンによるブキブキと野太いベースがやたらに印象的だが、その上に踊るドナの自信に満ち溢れたヴォーカルがまたとんでもない。いや~、こんなヴォーカルとやったらバックは燃えるよなァ~! このアルバムの大きな特徴として、ドラムとベースの録音レベルが異様に高い。それがアルバム全体をヴィヴィッドに、ヴァイタルにしている。これってプロデューサー、ゲイリー・カッツのディレクションなんだろうか? スティーリー・ダン時代とはまるで違うが、時代とともに彼の作るサウンドも変わったのかもしれない。このアルバムには錚々たるミュージシャンが参加していて、ホーン・セクションにランディ・ブレッカー、ロニー・キューバー、ルー・マリーニ、ルー・ソロフ、ギターにヒュー・マクラッケンといったNYの老練トップ軍団、その他のミュージシャンもエリオット・ランドールやバーナード・パーディーなどのスティーリー・ダン・コネクションが協力している。しかも3曲目にはなんとドナルド・フェイゲン本人がキーボードを弾いているではないか

今、この記事を書きながら実際にアルバムを聴いている。フルで聴くのは結構久しぶりなんだけど、やっぱいいわぁ~。ほんと、改めてアレンジは天晴れである。ロニー・キューバーのバリサクがこっそりかっこいいんだな。ソウル・グルーヴものにはよく登場するクラヴィネットだけど、なんだかこのアルバムのクラヴィは音がやたらと太いんだよね。そんでそれがまたすげぇかっこいいんだわ

グルーヴ・ミュージック・ファンなら、このアルバムを聴かないなんてのはとてつもない損だと思う。アルバムが丸ごとガチンコで、ごまかしとかスカシとか一切ない。音の塊が体当たりしてくるようである。アルバム発表時ポール・ウェラーが大絶賛したらしいけど、ポール・ウェラーでなくともコレを聴けば大絶賛したくなろうて。
このユニットだけは心から来日を待ち望んでいたのだが、ついには来日することはなかった。残念である。もう少し早い時期にデビューしていたら・・・。しかしながらこの“プッシング・アゲンスト・ザ・フロー”を凡百のアシッド・ジャズ・アルバムの1枚として片付けようとするのは、果たしてどんなものか???
ブームというのは時として残酷である。
この記事へのコメント
ともかくロウ・スタイラスが消滅したのは残念。フェイゲンが参加をOKしたってこと自体、それだけのバンドだってことだと思います。私はIf you believe in me~♪のコーラスで始まるあの曲がたまりません。血が騒ぐ&踊るんです。ロウ・スタイラスやラーセン・フェイトンバンド、24丁目バンドはたまに聞き取り教材に使ったりしてます。でも影の目的は、若人にそういう音楽のかっこよさを伝播することだったりして(^o^)。
ハイラム・ブロックが亡くなったのは2年前くらいだったんじゃないですかね。ウェイ・クールってアルバムが好きなんですが、あのジャケットと晩年のハイラムは別人でしたね。でもブルーノートで会った彼は、フランクで人柄のよさそうな人でした。プレイはそう、まさに唯一無二。素晴らしいギタリストでした。
ロウ・スタイラスは聴いたことないです。名前は聞き覚えありますが。ちょっと探してみます(^_^)。
ようこそ、こんな僻地の閑古鳥放置プレイのブログに遊びに来て下さいました。どうもありがとうございます!!
・・・というか、PVに出ていたってサラっと仰ってますが、超びっくり。どエラいことじゃーないですか!ほんとですかー!? そんな方に、この記事を読まれるのもちょっと恥ずかしいです(汗)
PVって、あのコンテナのやつのことですか?? 改めてYouTubeで見直してしまいました。えーッッ、どの人なんだろ??? 気になるな~。
現在2019年、時代は令和を迎えましたが、未だにロウ・スタイラスは好きですね。流石に聴く頻度は減ってますが、好きです。車で聴きますね。音楽の好みって、若いときに聴いたものをそのまま引きずるようですね。10代から20代の日々に聴いていたものを、今でも飽きずにずっと聴いています。
最近 突然思い出してググってみたら こちらのブログとPVが見つかり ちょうど昨日 私自身のFBに投稿したところです。その記事の一部をコピペします。
*突然思い出した!なんか~昔~ PV(MV)に出たなあ…。
UK では jazzy funky groovy♪ が1番のオシャレミュージックだった90年代。
MTV全盛期のその頃 まずはかっこいいPVを作るのが鉄則だった。
友達が このバンド raw stylus のメンバーで。
新曲のヴィデオ作るから出て~ 友達皆集めるから来て~ って事で
✂✂
演技指導としてはw 各自コンテナに入り 好きな物をピックアップして 出てきて遊んだり踊ったりしてください との事。(ゆるい!w
私は大好きなフラミンゴをゲットー!皆で空き地で踊る。
ミニスカに 髪が伸び放題で小学生みたいな わたくし。w
✂✂
UKバンドだけど USダンスチャートで1位になったこの曲 believe in me は 彼等のたった1枚のアルバムに収録されてる。
これ スティーリーダンのプロデューサーが関わってて ドナルドフェイゲンも 1曲参加してるという名盤!
↓こんなに登場するけど 全てが一瞬のサブリミナルみたいなやつで ほぼわからないよ!w
✂✂
以上でした!
改めてPVをガン見して、フラミンゴを持ったhanacoさんと思しき女性をチェックすることができました。髪がロングで白いワンピの方ですよね?? Vの一番最後にツーショで映ってる方でしょ? これって撮影場所はロンドンですか? 当時ロンドンにお住まいだったとか??
でもメンバーと友達って、いいなあ~‥。羨ましい。私ってばドナのヴォーカル本当に好きなんですよ。是非生で聴きたかったです。本気で来日待ってたのにな~。あの頃のアシッド・ジャズやら、UKのグルーヴ系サウンドは最高でしたよ。まだ私のCD棚にごっそりあります。手放せませんねw
これって1回書くと 削除できないんでしょうか?
そう 最後の方に映ってる2人の女子の片方です。
ロンドンに住んでました。
撮影場所は ロンドン市内の空き地です!w
今は 何かが建設されてたと思います。
名前だけで飛んじゃいましたか。では、あとで私が削除しておきますか。
PVには日本人の女性が2名参加していたんですね。もう1
名の方もメンバーのお友達? アシッド・ジャズもそうですが、私はビートルズやツェッペリンなど英国の音楽が結構好きなので、ロンドンやリヴァプールにもいつか行ってみたいな~なんて思っています(←海外に1度も行ったことがない)。ニューヨークとリオデジャネイロにも行きたいww 早くパスポート作れってか?